きょうどりょうり
ふるさと金山の味を次の世代にも伝えていきたい
地元では料理名人として知られる目黒さんと押部さん。ふるさとの味を若い世代にも伝えたいと、定期的に郷土料理の講習会を開き、その普及に努めています。「金山町は田んぼが少ないからね。ご飯の代わりに腹持ちのいい芋類を混ぜたり、そば粉で焼き餅を作ったり。郷土料理には昔の人の知恵や工夫が詰まっているんだよ」とお二人。ここでは、季節の変わり目や晴れの日によく作られきた金山町を代表する3品をご紹介します。
正月や祝い事の席には欠かせない晴れの日の料理「こづゆ」
干し貝柱でダシをとる「こづゆ」。山あいの金山町では、その干し貝柱を手に入れるのも大変だったため、かつて「こづゆ」は贅沢な料理でした。その代わりキクラゲやシイタケ、マイタケは山に豊富にあったので、乾燥させて保存食にしていました。具材は7種類以上。家によっては、ちくわや鶏肉、銀杏を入れるところもあります。
冬至カボチャの代わりに作る季節の料理「煮ぐるみ」
小豆、里芋、カボチャ、さつま芋などを甘く煮た汁に、腹持ちのいいすいとんを入れた「煮ぐるみ」。冬至かぼちゃの代わりに食べる冬の料理です。かつて砂糖は貴重品だったため甘さは控え目に。そうするとさつま芋の甘さがより引き立ちます。現在はすいとんの粉を使いますが、昔は身近にあったそば粉を使う家も多かったようです。
畑で採れたこんにゃく芋で作る「刺身こんにゃく」
昭和50年代頃までは、こんにゃく芋の産地として有名だった金山町。中でも上野原地区には、こんにゃく団地と呼ばれる芋畑が広がっていました。加工に適した芋になるまで丸3年。手間は掛りますが、冬場の保存食にもなるので自家用に作る家も多かったようです。自家製こんにゃくは、煮しめや筑前煮などにも利用されます。