○金山町議会ハラスメント防止条例
令和6年3月15日
条例第7号
(前文)
金山町議会議員(以下「議員」という。)は金山町民(以下「町民」という。)から信託を受けた代表者であることから、町政に携わる権能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理観を持ち、地方自治の本旨に従って、町民全体の奉仕者として町民福祉の向上に努めなければならない。
ハラスメントは基本的人権、個人の尊厳を著しく傷つけ、議会活動に支障をきたし金山町議会(以下「議会」という。)の社会的信用及び信頼を失うことにつながる。特に町職員に対するハラスメントは、不当に町職員の尊厳を傷つけ、人材の喪失、行政の停滞を招くことになり、更には議員への町民の信頼を裏切ることになりかねない。
よって議会は、全ての町職員及び議員が個人としての尊厳を尊重され、快適に働くことができる環境を確立することで、職員と議員がその役割を十分発揮し、議員によるハラスメントの根絶と未然防止をすることにより町民から信頼される議会の実現に資することを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、日本国憲法が保障する個人の尊厳、人格権その他の基本的人権の尊重及び政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(平成30年法律第28号)等の趣旨を踏まえ、議員による町職員及び議員へのハラスメント又は町職員による議員に対するハラスメントを根絶するため、同法に定めるもののほか、必要な事項を定めることにより、全ての議員及び町職員が人としての尊厳を尊重され、良好な職場環境を確保することで町政の効率的運用に寄与し、もって信頼される議会の実現に資することを目的とする。
(1) パワー・ハラスメント
議会、職場又は地域における優越的な関係を背景とした言動であって、議会活動、議員活動又は選挙活動(準備活動を含む。)その他の政治活動(以下「政治活動等」という。)上必要かつ相当な範囲を超え、当該言動の相手とされた者(以下「相手方」という。)に対して精神的若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は勤務環境が害されるものをいう。ただし、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示及び指導については、パワー・ハラスメントには該当しない。
(2) セクシュアル・ハラスメント
政治活動等における性的な言動であって、同性、異性を問わず、相手方に対して不快感を与える行為若しくはその行為によりその者の勤務環境を害し、又は勤務条件に不利益を与えることとなる行為をいう。
(3) マタニティ・ハラスメント
職場等において、妊娠したこと、出産したこと若しくは妊娠若しくは出産に起因する症状により勤務することができないこと等を理由とする言動又は妊娠、出産、育児若しくは介護に関する制度若しくはその措置の利用に関する言動により、その者の職務環境が害されることとなる行為をいう。
(4) その他のハラスメント
前3号に類する相手方に対する誹謗中傷、事実に反する風説の流布その他の嫌がらせとなる言動であって、日本国憲法が保障する思想の自由、表現の自由等に配慮しても、なお、一般に許される限度を超え、身体的若しくは精神的な苦痛を与え、又は相手方の生活環境等を害するものをいう。
(5) 議員
金山町議会議員をいう。
(6) 職員
地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の職員及び同条第3項に規定する特別職の職員(議員を除く)及び同法第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員、同法第22条の3第4項に規定する臨時的任用職員及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律(平成14年法律第48号)の規定に基づき任期を定めて採用された職員を含む。)で、本町に勤務するものをいう。
(町議会議員の責務)
第3条 議員は、町民の代表者として、機能及び責務を自覚するとともに、高い倫理観が求められることを念頭に、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、人格権その他の基本的人権を侵害する行為であることを自覚し、政治活動等における自らの言動を厳しく律しなければならない。
2 議員は、ハラスメントが職務環境を害するものであること並びに職員及び議員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、職員及び議員の人格を尊重した活動をしなければならない。
3 議員は、当該議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度を持って疑惑の解明に当たるとともに、説明責任を果たさなければならない。
4 議員は、職員及び議員に対しハラスメントに当たる行動又は言動を行っていると認められる事態に遭遇したときは、当該行動又は言動を行っている者に対し厳に慎むべき旨を指摘し解決に努めるとともに、議長に報告しなければならない。
5 町民は、本条例の趣旨の理解に努め、町議会に関するハラスメントの根絶に協力するよう努めるものとする。
(研修等)
第4条 議長は、前条に定める責務の遂行に資するため、本条例の趣旨の町民への周知及び啓発に努めるとともに、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。
(事実関係の把握等)
第5条 議長は、議員によるハラスメントがあると認めるとき、又は職員等及び議員からハラスメントに関する苦情の申出があったときは、速やかに事実関係を把握し、迅速かつ適切に必要な措置を講ずるものとする。
(公表等)
第6条 議長は、前条の規定により議員によるハラスメントがあったと確認したとき、又は職員等から議員によるハラスメントがあった事実が報告されたときは、議会運営委員会の意見を聴き、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他必要な措置を講じなければならない。
(議長職務の代行)
第7条 議長が調査の対象になったときは副議長が、議長及び副議長が共に調査の対象になったときは年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。
(被害者のプライバシーの保護等)
第8条 議員は、ハラスメントの被害者のプライバシーの確保に十分配慮し、当該ハラスメントに関し職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(その他)
第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。